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読んだ本の話(2016/2/12〜2/14)

言葉を使いこなすことは重要だ。


▼浄土 / 町田康

浄土 (講談社文庫)

浄土 (講談社文庫)

町田康の作品が好きだ。文体は軽く話は総じて馬鹿馬鹿しく、しかし破綻することはない。
本作には7つの短編が収められておりこれもだいたい馬鹿馬鹿しい。特に気に入ったのは「本音街」という短編。かなりベタといえばベタなのだが、本音を言うことが許される街で包み隠さず自分を曝け出す住民たちがヘンテコでどこまでも可愛らしい。「私はあなたを殴りたいと思っています」「私は殴られたくありませんし殴ったらあなたを干します」なんて会話、生きてる間にリアルで聞けるだろうか。


愛社精神ってなに? 第二新卒はなぜ起こるのか / 秋山進
私の目下の悩みは愛社精神がたぶんないことだ。だいたい愛社精神って何なんだろう。同僚や職種は好きだが、会社の風土やら事業の内容やらは別に好きかどうかまだわかんな〜いという感じである。もう愛社精神の本質が何なのか知りたくて仕方ない。
本書にはその答えが書いてあるかと思ったのに、これはどちらかというと会社のマネージャー向けのもので、愛社精神のない若手社員をどのように取り扱ったらよいかという本だった。
それにしてもやたらめったら新人類だの旧人類だのという区別をした挙句「新人類はアフター5に飲みに連れていかれるのがイヤだから気をつけて云々」などとしょうもないことをつらつらとよく書けたものだ。
またこの本は1992年に出版されており、いかにも当時の特色みたいな感じで書かれているが、今ごにゃごにゃ言われてることと全然変わらない。こういう「新人類が〜」みたいな話って何度も何度も繰り返してるんじゃないの?


▼裁判とことばのチカラ ことばでめぐる裁判員裁判 / 堀田秀吾

裁判とことばのチカラ―ことばでめぐる裁判員裁判

裁判とことばのチカラ―ことばでめぐる裁判員裁判

本書を読んだのは裁判員制度の勉強のためではなく、「言葉の選択によって、法律に詳しくない人はどれだけ騙されるのか」を知りたかったから。裁判員制度施行前の模擬裁判のデータからは、人は少しのバイアスでいとも簡単に騙されてしまうことがわかる。裁判長が少し小難しいことを言うと何だかそれっぽい……と流されてしまうのが人間なのだ。
普段私は企業法務として働いており、現場の営業担当等からの法律相談に応じることもある。そういった際に小難しいことをつらつらと申し立てても本当に理解してもらえているのかは分からない。分かってはいたが、こうもデータで示されると「伝わるように伝えなければならない」と改めて実感した。