アジアンカンフージェネレーションと僕

⚫︎あの頃僕らはアジカンのファンだった
先週の日曜日、ランニング中に立ち寄った喫茶店でアジアンカンフージェネレーション(以下アジカン)の曲が流れていた。アジカンとかいう前時代の遺物w」とかツイートしてやろうと思って邪悪な気持ちで耳を傾けると、それはかつて私が好きだった『Re:Re:』という曲だった。



思えば2000年代中頃はみんなアジカンのことが好きだったし、当時中学生だった私もその例に漏れずアジカンが好きだった。
休日にはラジオの前にかじりついて音源をMDに録音しようと必死だったし、毎週アジカンLOCKS!というFM番組も聴いていたし、少ないお小遣いをはたいてアジカン特集が組まれたロッキンオンジャパンも買っていた。

アジカンといえば1stアルバムが良曲揃いだが、何より『Re:Re:』の収録されている2ndアルバム『ソルファ』が名盤だった。わかりやすくカッコいいメロディや少し荒さの残る後藤正文氏の歌声にただただ「やべえ」と思ったことを覚えている。
正直アジカンが何を伝えたいのかは歌詞を見てもロッキンオンジャパンのインタビューを見てもよくわからなかったが、却ってその「とにかく衝動の限り歌ってるぜ」感が中学生の私にクリーンヒットした。


⚫︎アジカンへの違和感と別れ
さて、世間一般に「アジカンの方向性、何か変わったよね」などと言われ始めたのはおそらく『ブルートレイン』のリリース以降だったように思う。



その当時、確かに『ブルートレイン』はある意味実験的な曲だったものの、個人的には非常に好きな曲だったし、「アジカン終わったなw」的な批判に対しても「わかってないな〜」なんて思っていた。
ところがその時に大多数が覚えていた違和感が正しかったのか、次に発表された3rdアルバム『ファンクラブ』はもう全くもって合わなかった。なんか全曲めちゃくちゃ暗いから。結局、私もアップテンポで明るい曲が大好きなノリノリロックキッズの一人に過ぎなかったのだ。

その後、「いや『ブルートレイン』は良い曲だし……」などと騙し騙し聴いてみたり、コンピレーションアルバム『フィードバックファイル』にワクワクしたりはしたものの、最終的に4thアルバム『ワールド ワールド ワールド』で私はアジカンと決別する。

とはいえ『ワールド ワールド ワールド』のことを嫌いなわけではなかった。むしろ『アフターダーク』や『或る街の群青』など、どこか吹っ切れたような収録曲には好感が持てた。
合わないと思ったのはたった一曲、アルバムの最後に据えられた『新しい世界』という曲だった。


『新しい世界』の冒頭で「大声で叫べばロックンロールなんだろう?そんなクソみたいな話ならもう沢山だよ」とゴッチが言ったとき、当時のファンの気持ちはおそらくこう二分されたんじゃないかと思う。すなわち、「ゴッチすげー!みんなが心の底で思ってたことを代弁してくれた!」派と、「いやいやゴッチも今まで大声で叫んでましたやん」派であり、残念ながら私は後者だった。
いやゴッチ、今まであんたも大声で叫んでましたやん。ロックンロール感出してましたやん。
何自分だけちょっと既存のステージから抜け出した感を醸し出してんの。あなたの叫びが好きだった私は何だったの。私を置き去りにしてどこへ行こうとしてるの。

そこからは早かった。後藤正文氏が何だか文化人っぽくなって、核はやめようとか言っちゃって、曲も何かもっと具体的なメッセージ性を帯び始めて、ついでにダサい眼鏡を外してサブカル丸眼鏡をかけて。そうして私はアジカンについていけなくなって、いつしかアジカンを聴かなくなっていった。


⚫︎じゃあアジカンのことを嫌いになったのか
アジカンを聴かなくなった人のうち、その原因が「ゴッチが核反対とか反原発とか言い始めたり、特定の政党を支持する姿勢を前面に出したりするから」という人は割と多い気がする。何となくそれはわかる。

でも、思い返してみれば、私がアジカンを聴かなくなった理由はきっとそれだけじゃなかった。まだ田舎の高校に通って芋くさい制服に身を包んでいたあの頃、思春期の高校生が出せる速度以上に変化してどんどんオシャレぶっていくアジカンに耐えられなかったんだと思う。
いつの間にか澄ました顔をして、オシャレっぽいアーティスト写真を撮っていたアジカン。いつまでもダサい眼鏡をかけ続けて、一緒に初期衝動をワーッと叫んでドカドカ行けるところまで行ってくれるんだと思ってたのに、マラソン大会のラストで裏切ったアジカン
やり場のない気持ちはいつしか「アジカン?ああ……何か最近よくわかんないよね、聴かなくなっちゃったw」という言葉に変わっていった。そんな気がする。

24歳になった今、アジカンの最新曲を私はまだ聴いていないし、最新曲の名前も知らない。
けれど私も年相応にオシャレになって、きっと今なら笑ってアジカンのことを聴けるんじゃないか。
原発?そんな考え方もあるよね。これがそのメッセージを込めた歌なの?ふーん、カッコいいじゃん。私はゴッチと主義主張は違うけど曲はいいと思うよ、と。スマートにアジカンのことを流せるだろうかと。『Re:Re:』をふと聴いてから、そういうことを考えている。