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死んだ犬の話

日記
いつだったか飼っていた犬が死んだ。たぶんわたしが小学生くらいだったころから生きていて社会人になったくらいで死んだ。
犬は可愛かったけどとんでもなく頭が悪いから芸はお手くらいしかできなかったし、散歩もあまり好きじゃないのか外に連れ出してもすぐに動かなくなって犬じゃないみたいだった。

犬は年をとると動かなさに拍車がかかってきた。後ろ足の調子が悪いようで思うように歩けなくなっていたし、目もあまり見えていないのかいつもよくわからない方向を見ていた。
そのうち獣医には「どこぞに腫瘍ができておりそれが目を圧迫しているので目が飛び出るかもしれない」などと言われ、だんだんこわい話のようになってきた。
さらにしばらくすると猫(そのころ攻撃的な猫を新しく飼い始めた)の嫌がらせに反応できなくなり、ごはんを食べなくなって、家族全員がああそろそろこの犬は死ぬんだなと予感した。

獣医は延命治療を提案したがわたしたちはそれを断って、それからしばらくして、かろうじて生きていた犬は死んだ。仕事から帰るとタオルに包まれた物体が置いてあったがそれがまさに死んだ犬だった。
母親が「まだあたたかいから抱いてみるといい」と言い、抱きかかえてみると重心がよくわからない。身近な生き物の死をどう考えたらいいのかよくわからないまま、気がついたら犬は火葬されていて、何年か経って今だった。

そういえば家族旅行にはあまり行かなかったが、一度だけ犬を預けて家族全員で旅行に出かけたことがある。
家に帰り犬を連れ戻すと、ふだんはおとなしくて声も出さない犬なのに、ちぎれるほど尻尾を振ってくんくんと何度も鳴いた。家の中を走り回って新聞紙をびりびりに破いた。

生きていた犬の名前はシューといいました。