日記(2016/6/11:映画『FAKE』を見た話)

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先日東京で友人と茶をしばいていたところ「森達也氏が佐村河内氏を題材にした映画をやるよ」と聞かされ、それからずっと大阪での上映を心待ちにしていた。
今日は映画『FAKE』が大阪で上映されるその初日。12時過ぎの回のために早起きして9時過ぎから並んでチケットを買って見た。
 
わたしは佐村河内氏のことをよく知らなくて、ずいぶんネットで叩かれたなあとかマスコミが執拗に馬鹿にしてたなあとかその程度のイメージしかなかった。
だから今回映画を見て佐村河内氏の私生活を垣間見て、まず感じたのは「あ、佐村河内氏ってウケるコンテンツじゃなくて人なんだ」ってこと。当たり前だけど。
あのスキャンダル以降、佐村河内氏はすっかり引きこもってしまって、暗い部屋で奥さんと猫とひそやかに暮らしている。外出するときは変装する。
もうこれだけですごくいたたまれない気持ちになってしまった。ただの人にこんな生活を強いたのは誰なんだろう。
 
映画の中で、佐村河内氏は「自分は本当に難聴だし診断だって出ているのに、メディアが都合の良いところだけを抜き出して嘘をついている」と主張し、怒りと悲しみをむき出しにしていた。
それを見ながら、昨今のメディアってだいたいそうなんだろうなとか、人ひとりの人生を狂わせるまで追い詰めなくてもいいじゃんねとか思ったりして。
ドキュメンタリー映画にしろワイドショーにしろ、加害性がすごく強いし恣意的な部分がかなりある。視聴者が一瞬口当たりの良さとか爽快感を得るかわりに、誰かが嫌な気持ちをしているってことは常に考えなきゃいけないんだろうなと思う。
 
ところで印象的だったのは奥さんの存在で、何があっても愛しているから信じているんだっていう振舞いが凄い。もはやこの映画はラブストーリーであるとすら思えるくらいに。
彼女の愛はあらゆるものごとを超越したある種普遍的な存在でありながら、当然神様じゃないんだから辛いこともあっただろうなとも思うし、やっぱり誰だって普通の人だよな。
 
まあ何を言ってもこの映画自体が『FAKE』な可能性もあるし、あくまでも森監督の目を通して切り取られた後日談に過ぎない。
ラスト12分間はキャッチコピーのとおり衝撃的だったし、最後の最後なんてヒヤヒヤしたけど、もはやどこまでが本当でどこからが嘘だったのかなんて誰にもわからない。でも、
「……でも、少なくとも今まで色んな人間が発信してきた『真実』だって、僕は決して『TRUTH』ではないと思う」
と、上映後のトークショーで静かに言った、森監督のこの言葉がすべてであるように思う。
 
正直なところ感想をどうとかまとめるのがすごく難しくて、ひたすら余韻に浸りたいそんな映画。色んなことがぐるぐるうずまいてしまうような、森監督の手のひらの上で転がされるような、すごく良い映画だと思う。感想を語り合いたいから陳腐な暴露ものだと思わないで見に行ってほしい。
 
 
 
 
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日記だから今日他にしたことも書く。13500円する腰痛クッションを買いました。高いわ。