空気清浄機が部屋を透明にする日

最近、自室にいる時間が長いからか、自分のにおいを感じるような気がしてきた。
目に見えない何かが部屋に充満していると考えると気持ち悪かった。とにかく何もない空間にしたくて空気清浄機を買った。cadoのちょっといいやつ。オシャレで黒くて光るデカい筒。すごく満足している。



たぶんにおいに敏感なほうだと思う。良いにおいならいくらでも嗅いでいたいけど、嫌なにおいを察知すると吐いてしまう。
いまだに忘れられない嫌なにおいは、数年前に交際していた人のにおいだ。その人自身のにおいも好きじゃなかったが、一番嫌いなのはその人が暮らす家の空気のにおいだった。端的に言ってくさかった。


外の世界がにおいであふれているのはわかる。草木とか排気ガスとか雨のにおいとかが混じり合っているのは構わない。
映画館の椅子とか車の中とか食べ物屋さんのにおいとかはそういうものなんだと思えるし、自分は外にいるんだという実感もわく。
たまにくさいにおいに当たって、そのにおいに圧倒されたような気持ちになっても、外にいる以上は仕方ない。
でも、だからこそ、家は無臭であるべきだ。何のにおいもしない空間にいて初めて、ようやく自分を解放できるからだ。家をくさいと感じる時点で、自分は家からある種の攻撃を受けているとすら思う。


まあ当時交際していた人の家はわたしの家ではないし、だからその家で解放も何もないんだけれど、家は無臭であるべきという気持ちを一層強めるには充分だった。



まったくもって空気清浄機はえらい。部屋を一瞬で無臭の空間にしてくれる。不快じゃなくなる。何もない空間があると思うとすごくうれしい。
やっとそういうところに来れたんだ。もうわたしは家から出ません。快適なので。